片足立ちトレーニングの意味
「正しい姿勢」「良い立ち方」
何を以てしてそう言うのか?
腰を反らす?
頭をつり下げられているイメージで立つ?
近年、臨床や神経科学の視点から見えてきたのは、単なる立ち姿ではなく、「骨で立つ」という考え方です。
僕がクライアントによく言う、「筋肉で立つ事は疲れるし、ヨロケる。身体を痛める事になるので、骨で立つ事を意識して下さい。」
これは良い姿勢に身体を変えて行くと言う目的があるのです。
骨で立つとは、筋力で身体を支えることではなく、骨格構造に重力を通し、最小限の筋活動で立位を保つ状態を指します。
骨で立つ事で、身体では非常に大きな変化が起こります・・・。
筋肉で立つと、常に微細な揺れを修正するために多くの筋が作動します。
下腿、大腿、腸腰筋、脊柱起立筋、足趾屈筋・・・、多くの筋が休みなく活動し、そこ筋中にあるセンサー(筋紡錘・腱受容器、関節包、皮膚など)から大量の情報が脳へと送られます。
脳はそれらを「不安定」「修正が必要」「転倒リスクあり」と解釈し、脳の網様体や青斑核が活性化し、結果、交感神経が優位となり、身体は常に戦闘・警戒モードに入るのです。
一方、骨で立つと、骨盤の上に脊柱が積み上がり、大腿骨が脛骨の上に自然に乗り、足底では点ではなく面で床を捉えます。
筋活動は低頻度かつ低振幅となり、関節圧や足底圧は安定します。
神経生理学的には、これは「予測可能で誤差の少ない感覚入力」が中枢に入っている状態です。
脳は感覚入力の量そのものよりも、「予測とのズレ」を危険信号として扱います。骨で立つことでそのズレが激減すると、島皮質や扁桃体の過活動が鎮まり、延髄の迷走神経核が相対的に優位になります。
結果として副交感神経が前に出やすくなり、身体は自然と回復・同化モードへ移行します。
この変化は意識的なリラックスとは全く異なります。
「落ち着こう」「力を抜こう」と思わなくても、構造が整った瞬間に神経が勝手に休み始めるのです。
臨床では、骨で立てた直後に呼吸が深く静かになり、嚥下が楽になり、眼球運動が滑らかになり、声の響きが低く安定することがよく観察されます。これらはすべて迷走神経優位の明確なサインです。
重要なのは順序です。
副交感神経を出そうとして姿勢を整えるのではなく、構造を整えることで感覚入力が整理され、その結果として副交感神経が働く。
この順番を取り違えると、どれだけ呼吸法やリラクゼーションを行っても効果は一時的になります。
この視点で見ると、伝統武道や芸道で語られてきた「力を抜け」「重心を落とせ」「積み上げろ」という言葉の意味が、単なる精神論ではなく、極めて合理的な神経制御の知恵であったことが分かります。
骨で立つとは、身体構造を通じて脳に「今は安全だ」と伝える技術なのです。
立ち方は24時間続く内部からの入力です。
ストレスの多い人
自律神経が乱れやすい人
慢性的な緊張や不安を抱える人
肩こり・腰痛持ちの人
「骨で立つ」という感覚を体得することで、回復のスピードと質が大きく変わっていきます。
立ち方は姿勢ではなく、神経への無言の指示書です。
骨で立つという選択は、日常の中で最も静かで、最も影響力の大きいセルフケアなのです。
立ち姿が、骨で立てているか?どうかの判断は、両脚立では分かりにくいです。
僕が推奨しているのは、片足立ち。
上げた方の膝は、股関節90度とし、30秒以上グラつかずに立てる事。
これを毎日行う事で、骨で立つ事が自身で理解しやすいですし、また、立てる様になる事で戦闘モード(交感神経)を鎮める事が出来ます。
継続は力なり!
毎日、行ってみて下さい!!
