カルシウムの主要な働き
カルシウム(Ca)
「骨を作るミネラル」として知られていますが、それはほんの一部。
実際には体の中で“電気スイッチ”のように働き、命の根幹を支える役割をしています。
主な働きとしては、
- 骨・歯の形成(全体の99%)
- 筋肉の収縮と神経伝達
- 血液凝固、ホルモン分泌、心拍の調整
などがあります。
① 骨と歯に沈着
・カルシウムはリン酸カルシウムとして骨や歯に沈着。
・骨はカルシウムの貯蔵庫(血中カルシウム濃度が不足すると溶け出します)。
📌 骨形成のサイクル:
破骨細胞(こわす)⇄ 骨芽細胞(つくる)
→ ビタミンD、運動、ホルモンがこのバランスをコントロール。
② 筋肉を動かす「スイッチ」
- 神経から筋肉に信号が来ると、カルシウムイオン(Ca²⁺)が筋線維内に流れ込む。
- これにより筋線維(アクチン・ミオシン)が滑り込む(収縮)。
🧠 つまり、カルシウム=筋肉を「オン」にする。
③ 神経伝達物質を放出する
- 神経の末端にカルシウムが流入すると、シナプス小胞が融合→神経伝達物質(例:アセチルコリン)を放出。
- この仕組みで、脳→筋肉・内臓への命令が伝わる。
💡 Ca²⁺が入らないと、神経伝達そのものがストップします。
④血液凝固
・血液凝固は「内因系・外因系・共通経路」に分かれ、どの経路でもカルシウム(第IV因子)が欠かせません。
⑤ホルモン分泌
-
ホルモンは内分泌細胞から小胞に包まれて分泌されます。
-
このとき、カルシウムイオン(Ca²⁺)が細胞内に流入することで“放出スイッチ”が入る。
💡Ca²⁺は「開封トリガー」=ホルモンの出荷指令を出す役割です。
⑤心拍の調整
-
心臓にある洞房結節で電気信号を生み出し、それが心筋に伝わって収縮(拍動)します。
-
この電気信号から筋肉の収縮に変換するスイッチが、カルシウムです。
🧠補足
体は血中カルシウム濃度を常に一定に保とうとします(8.5〜10.5mg/dL)。
これを担うのが:
- 副甲状腺ホルモン(PTH):血中Ca↓ → 骨からCaを溶かす・腎臓での再吸収↑
- カルシトニン:Ca↑ → 骨に沈着させる
- ビタミンD(活性型):腸からの吸収↑
🏠【実生活への応用】
状況 | カルシウムの役割 |
---|---|
夜間のこむら返り | 筋肉細胞内のCaコントロール不良が原因 |
骨粗鬆症予防 | Ca+ビタミンD+負荷運動が三本柱 |
イライラ・神経過敏 | Caは神経の安定にも関与(抗ストレスミネラル) |