アグア
日本に住んでいると、水道水をそのまま飲めることを特別とも思わずに過ごしています。
しかし世界的に見れば、これは大変珍しく、誇るべきことです。
日本の水が綺麗で安全である背景には、自然の条件と人々の努力、そして水を尊ぶ文化の心が重なっています。
雨や雪が豊富に降り、山が多い日本では、水が短い距離で川から海へと流れます。
その過程で土や火山灰にろ過され、天然のフィルターを通った水は澄んだ湧き水や清流となります。
さらに戦後の上下水道整備と浄水技術の発展が重なり、僕達は安心して水を飲める環境を得ることができました。
工場排水や生活排水への厳しい規制もまた、この清らかさを支えています。
しかし近年は水源をめぐる課題が浮き彫りになっています。
気候変動による渇水や豪雨、森林管理の不十分さによる保水力の低下、人口減少による水道インフラ維持の難しさ、さらには外資による水源地の買収といった問題が同時に進行しているのです。
このままでは、僕達が当然のように享受している「安全で美しい水」が未来に保証されるとは限りません。
ここで思い出したいのは、人体の大半が水でできているという事実です。
赤ちゃんは体の約8割が水、大人でも6割前後が水で占められています。
体内の水は血液やリンパ液となり、細胞に栄養を運び、老廃物を流し、生命活動のすべてを支えています。
もし水の巡りが滞れば、体は濁り、不調を訴えます。
逆に流れが良ければ、体は澄み、健康を保つことができます。
日本の水環境を守ることは、そのまま私たち自身の身体を守ることと重なります。
一杯の水に宿る自然の恵みと人の努力を感じながら、その価値を未来に繋いでいく意識を持つことが、健康にも社会にも必要な時代になってきているのです。